saeki_fumi’s blog

ことば、に、まつわる、こと、などなど

キャッチーなるコピー

*ご挨拶

はじめまして。さえきふみです。星空文庫に、物語や詩など、拙い作品を公開しています。最近では、長編の構成見直しに時間がかかりすぎて、いったん冷凍保存することに決めました。

そんな状況にありながら、飽きもせず、とうとうブログにも手を出しちゃいました。本当は数年前にも書いていたのですが、今回はまったく違う角度から取り組もうと思います。改めまして、よろしくお願いします。

 

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*このブログについて

さて、このブログでは物語や詩ではなくて、ふだん気になっている言葉について、あれこれ書いていきたいと思います。実は、書き手とは違う意味で、少し専門(言葉の)も嗜んでいます。

いわゆる研究ちっくなものです。ですが、ここではそんな話は出しません。出たとしても、漏れ出たくらいのレベルに止めます。なんだか難しいのは、学校で十分ですからね。軽めで、わたしの妄想を交えた四方山話(よもやまばなし)をあげていきます。

 

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*本日のお品書き

では、さっそく本日のメインに参りましょう。ここひと月ほど、「小遣い稼ぎになるかも」という、まったく当てにならない愚考(へりくだりではないです)を抱いて、ネーミングのコンペに応募していました。

もちろん、世の中はそんなに甘くはなく、お礼の配当金をもらいながら(お金を稼ぐのは楽ではないですね)、コンペで選ばれた名前を、豆鉄砲を後頭部にくらった鳩のように、ほーほーと眺めていました。

というわけで、前置きが長くなりましたが、本日のテーマは「名前の付け方」です。

 

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*ネーミングに見る「ほうそく」

先に断っておきますが、これを読んだからと言って、「明日から私もコピーライター」などという夢は持たないでくださいね。そもそも、わたしは落選を繰り返しているのです。反面教師にこそなれ、まっとうな講師にはなれません。

ただ、「そういう考え方もあるのか」という、ささやかな、それはそれは、とてもささやかな発見は、もしかしたら、ひょっとしたら、あるかもしれません。それ以上の期待はなさらぬよう、お願いいたします。

 

①削って、くっつけて

二つのものをくっつける時に、省略するのはよくある手です。たとえば、「ジャパン」と「ネットワーク/インターネット」をそれぞれ削って、「ジャパネット」。また、「働こう」と、同じく「ネットワーク/インターネット」を結びつけた「はたらこネット」

うまいなあと、しみじみ思うのは、「ジャパンネット」、「はたらこうネット」と、それぞれ口にしてみると、少し説明臭くなるのですよね(「ジャパンネット銀行」さま、ごめんなさい)。とくに、「はたらこう」とつけちゃうと、「うわあ、働かないと」という感じが出ちゃう。「はたらこ」なら、軽い感じに仕上がります

 

②「る」っちゃう

昔なら、大学で留年することを「ダブる」と表現したそうです。英語の「double」が元ですが、日本語の使用者が「る」を、動詞的な感覚で受け取った結果、できた造語です。「ちょっと、上とトラブってさ」など、「trouble」をそのまま日本語の動詞として活用しちゃうのです。

そんなこんなを活かしたのが、バイトル」や「ラクスル」など。「バイト」と「する」を合わたのと、「楽に」「する」を合わせた名前です。先ほどの例でもそうですが、少しずらすことで、がっつり感とか、いかにも日本語感が、良い意味で無くなっています。とくに「おお」と思うのが、「楽に」「刷る」がかけられている点です。飯三杯いけますね。

 

③ことわざっちゃう

次は、まったくの推測です。もしかしたら、妄想かもしれません。ただ、それらしい根拠も、なくはないです。例のTVのCMでもおなじみの人材会社「Indeed」の名前についてのお話です。これ、どこから来たのか、気になりませんか。

かくいうわたしも、前から気になっていました。高校くらいで習う英単語とはいえ、そのまま使うには、おそらく意味もわかりにくいと思います。英和辞典で引いても、「実際は、本当は」などと出てきて、ますます困惑の渦にはまっちゃいます。

おそらく、たぶん、もしかすると、この名前が来たのは、英語のことわざ「A friend in need is a friend indeed.」からではないか。この「まさかの友は真の友」の「真の友」に当たるのが「a friend indeed」です。英語圏ではよく知られたことわざだけに、このindeedにイメージとして埋め込まれている、のではないか。というわけです。「悪銭」と聞いたら、「身につかず!」という感じでしょうか(汗汗汗)。

 

④落としちゃいますか、目的物を

これも最近気づいて、思わず狂喜乱舞(大げさ)した名前です。大阪の水族館のキャッチコピー「NIFREL」。最近まで気づかないのも、考えてみたらおかしい話です。というのも、現地に行った方なら、誰もが、知るどころか体感されるのですから。

そう、「NIFREL」とは「に触れる」をローマ字化したもの。カタカナ表記「ニフレル」も用いているようですが、一見してそれとわかるように、「…に」の「…」が落っこちています。これもつぶやいてみると、うまいなあと感心せざるを得ません。「に・ふれる」ではなくて、一息に「にふれる」。日本語からずらされながら、きちんと意を伝えてもいますいやあ素晴らしい!

 

⑤唯一にして無に

最後は、「よくまあ、思いつくよなあ」と、少々言葉が汚くなるほど、発想の圧倒的な孤高さに、脳みそを直に触られるほどの感銘を受けた名前です。人材会社「en」がそれ。「縁」なんですよね、元は。指摘されたら「ああ、そうそう」と、はたと手を打ちたくなるのですが、そこにこの発想の凄さがあります。

同じ人と人を結びつけるコンセプトを、漢字一文字から借りてきて、「kizuna(絆)」「enishi(縁)」「musubi(結び)」などと表しても、すぐにそれとわかります。それどころか、ちょっと古めかしい臭いさえしてきます。それを「en」としちゃえば、元の漢字との結びつきは、かなり薄くなります。でも、しっかりコンセプトをおさえている。もう垂涎ものです。

 

*ひとこと

いかがでしたか。わたしは、素人ながら、それでも夢心地で、コンペに出し続けるつもりです。上の分析(妄想)を活かしながら。そして、最後に一言、アドバイスを添えるなら、最近は地域性は打ち出さない傾向にある、ことでしょうか。

とくに地域性が、地方の良さではなく、辺縁を指す場合はそうです。まったくコンセプトが不明な、でも、どことなくセンスのある、そう、生活感のない部屋のようなネーミングが、いくつも採用されていました。これは、参考になるかもです。

ちなみに、Indeedはアメリカの会社です。書き忘れてました。ただ、だからと言えるほどの根拠ではないです。

以上です。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。 さえきふみ

 

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